鼠島(ねずみじま)の柄杓(ひしゃく)

この記事は約3分で読めます。

はじめに

岡山県瀬戸内市牛窓町の沖合に、お椀を伏せたような小さな島が浮かんでいます。

まるで、鼠がうずくまったような様子から「鼠島(ねずみじま)」という名前が付けられたとのこと。

そんなかわいらしい島を舞台とした昔話です。

鼠島(ねずみじま)の柄杓(ひしゃく)

その昔、牛窓の漁師は、漁の途中に飲み水が切れると、鼠島の泉で水を飲んでいたそうです。

その泉は、一面矢竹で覆われた鼠島の頂上の3本の松に囲まれたところにありました。

小さな泉ですが、雨が降らない日が続いても、年中枯れることはない、不思議な泉でした。

ある日、漁に出た漁師は驚くほどの大漁に会います。

夢中で漁をしていた漁師は、のどが渇き、いつものように鼠島に上がり、泉の水をたっぷり飲んでいました。

ふと見ると、泉の向こうに真新しい柄杓があるではありませんか。

漁師は、「何かの役にたつだろう」と柄杓を船に積んで持って帰ろうとしました。

少し漕ぎ出してみると、とたんに空は暗くなり、雨が降りだし、風が吹き、大きな波が立ち始めました。

必死で櫓をこぐのですが、船は進まず、雨は容赦なく船にたまって行きます。

漁師は、こぐ手を止め、泉のところから持ってきた柄杓を手に取り、腹ばいになって一心に水をかきだし始めました。

でも、水は全然減りません。

不思議に思い頭を上げると、ずぶ濡れの白衣の女が、髪をかき乱しながら、柄杓で船に水を入れているではありませんか。

漁師は怖くなり、念仏を唱え、必死で船をこぎ逃げようとしますが、そのうち気を失ってしまいました。

翌日、運よく近くを通る船に発見され助けられた漁師は、目を覚ますまでに幾日もかかりました。

そんなことがあってから、鼠島の泉で水を飲んだ時には、お礼に柄杓を供えるようになったそうです。


https://www.city.setouchi.lg.jp/uploaded/attachment/104871.pdf

広報せとうち平成24(2012)年4月号(第89号)瀬戸内発見伝 地域に残る昔話③ 「鼠島の柄杓」を参考として、再編成しました
鼠島(ねずみじま)の柄杓(ひしゃく)
鼠島(ねずみじま)とは 加藤水産の牡蠣筏の沖にある小さな無人島。 まるでお椀を伏せたような形は、まるで鼠がうずくまったよ...

鼠島(ねずみじま)について

鼠島は、標高20m、周囲300mほどの本当に小さなまん丸い島です。

周囲には、上筏礁、下筏礁、釜蓋礁など、岩礁が多くあり、潮流も複雑で航海の難所だったのでしょう。

一方、変化に富んだ岩礁帯によって、好漁場でもあったと思います。

これらのことから、「鼠島の柄杓(ねずみじまのひしゃく)」の物語を生んだのかも知れません。

西にある「倉敷市」には、平家の亡霊が柄杓で船に水を入れる「杓島(しゃくじま)」という民話があります。

似たところがあり興味深いです。

現在、鼠島の周囲では、牡蠣の養殖が行われています。

たくさんの牡蠣筏の下を、昔と変わらず複雑な潮流が流れ、とてもおいしい牡蠣が育っているのでしょうね。


コメント

タイトルとURLをコピーしました